薬局薬剤師の日常

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✏高尿酸血症治療薬「ユリス」についてまとめてみた

2020年最初のブログになってしまいました・・・。

ですが細々とやりたいと思っています(●´ω`●)ゞエヘヘ

今回は明日(5/25)発売となった高尿酸血症治療薬「ユリス」について調べたことを書きたいと思います。

 

添付文書などの情報はこちらからどうぞ。

医療用医薬品 添付文書等情報検索 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

 

 

 

ユリス基本情報

 一般名:ドチヌラド

商品名:ユリス

 

薬理作用:近位尿細管における尿酸の分泌に関与するABCG2、OAT1 及び OAT3 に対する阻害は弱く、再吸収に関与するURAT1 (ゆーらっとわん)に選択的な尿酸再吸収阻害作用を有する尿酸排泄促進薬(選択的尿酸再吸収阻害薬:SURI

 

規格:0.5mg、1mg、2mg

用法用量:通常、成人にはドチヌラドとして 1 日 0.5 mg より開始し、1 日 1 回経口投与する。その後は血中尿酸 値を確認しながら必要に応じて徐々に増量する。維持量は通常 1 日 1 回 2 mg で、患者の状態に応じて 適宜増減するが、最大投与量は 1 日 1 回 4 mg とする。

食事の影響:食事の影響はなさそうです。

 

警告・禁忌:過敏症の既往歴以外はなし。類薬のベンズブロマロンにおける劇症肝炎などの肝障害を避けるように創薬されたようです。

併用注意:なし

 

一包化:可

半錠:可 割線あり

薬価:30.00円/0.5mg、54.80円/1mg、100.20円/2mg  R2.5.24現在

 

製造販売:富士薬品 持田製薬とプロモーションするようです。

 

臨床成績(第Ⅲ相試験)

 国内第Ⅲ相試験ベンズブロマロン、フェブキソスタットとの非劣性試験(非劣性マージン:-10%)において非劣性が確認

 

主要評価項目:投与終了時(投与14週後または投与中止時)における投与前値からの血清尿酸値低下率

 

血清尿酸値低下率の投与群間の平均値の差

ベンズブロマロン:2%[両側95%信頼区間:-1.27%,5.37%]

フェブキソスタット:-2.17%[両側95%信頼区間:-5.26%,0.92%]

 

安全性

 肝機能障害について

劇症肝炎、肝機能障害を克服を目指して創られており、非臨床毒性試験において肝障害を示唆する所見がなかったこと、臨床試験においてもベンズブロマロン、フェブキソスタットと比べて有害事象の発現頻度は同程度とされていることから、添付文書における劇症肝炎の警告、肝障害患者の禁忌について記載はされていません

そのため、肝障害に関する懸念はないと考えられますが、肝機能障害は他の高尿酸血症治療薬において発現が報告されており、その発生機序は必ずしも明らかになっていないことから、重要な潜在的リスクとされ、市販後も調査対象となっています。

 

腎機能障害について

腎機能低下患者に対する減量などの規定はありませんが、近位尿細管に作用する薬理作用を考えると腎機能低下例では作用減弱の可能性があることには注意が必要かもしれません。

 

尿路結石について

尿酸排泄促進作用の薬剤であるため、尿中への 尿酸排泄に伴い、尿酸結石を始めとする尿路結石を誘発する可能性があります。

水分摂取の注意喚起状況に応じて尿アルカリ化剤クエン酸カリウムクエン酸ナトリウム水和物配合製剤)を併用投与する必要がありそうです。

臨床試験では多くの症例で尿アルカリ化剤を併用されていたようです。

 

製薬メーカーさんのアピールについて

 営業活動自粛が解禁された富士薬品さんが薬局に来られました。

まず言われたのが「非常に効果が強い薬が発売となりました!Σb( `・ω・´)グッ」

URAT1に選択性もあります!」

 

パンフレットを見てみると、選択性についてのアピールと効果については第Ⅱ相試験の尿酸値6未満になる達成率のデータでした・・・(¬_¬)シラ-

 

ちょっと意地悪かもしれませんが、第Ⅲ相試験ではユリノームやフェブリクと比べて非劣性しか言えてないし、なんなら尿酸低下率は選択性があるにも関わらず、劣っているようにも見えることを伝えると、かなり慌てていましたが「選択制については、尿酸排泄を効率的にできており、薬の量を少なくすることができています」とのことでした。

 

でも、このパンレットの並びだとあたかも効果を強めてそうだし、第Ⅲ相試験のデータはあまり載せたくないのかなと感じてしまいますよね・・・。

MRさん意地悪言ってごめんなさいm(_ _)mスマン

 

まとめ

 ユリノームに見られた劇症肝炎など肝障害を克服した可能性がある薬剤で、安全面では使いやすいかもしれません。

ですが、まだデータが少なく効果もあくまで既存薬との非劣性しか分かっていません。

個人的な見解ですが、今のところフェブリクでよっぽど尿酸が下がらないような方に上乗せするようなケース以外の選択肢はないかもしれませんね・・・

そもそもそんなケース自体があまりないかもしれませんが(;^ω^)

尿酸低下ではなく、真のアウトカムを改善するようなエビデンスが今後出てくることに期待しておきましょう!

 

いかかでしたでしょうか?

添付文書、承認審査報告書を元に書いていますが、間違いがあれば、教えてください!

ユリスのここが素晴らしい!全然ダメ!などTwitterなんかで気軽に絡んでくれると嬉しいです!!\(≧U≦)/