薬局薬剤師の日常

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✏オレキシン受容体拮抗薬「デエビゴ」についてまとめてみた

今回は7/6発売予定のオレキシン受容体拮抗薬「デエビゴ」について調べました!

こんなに短期間に更新なんて珍しい・・・

 

 

添付文書など基本情報はこちらからどうぞ。

医療用医薬品 添付文書等情報検索 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

 

 

デエビゴ基本情報

 一般名:レンボレキサント

商品名:デエビゴ

名前の由来:Day(日中)+Vigor(活力)+Go(ready to go)

デイビゴで申請したが、ディビゲルと紛らわしいため却下されたようです・・・

 

薬理作用:オレキシン受容体の2種のサブタイプ(オレキシン1受容体[OX1R]、オレキシン2受容体[OX2R])に対して オレキシンと競合的に拮抗するアンタゴニスト(dual orexin receptor antagonist:DORA)

受容体に対する親和性: デエビゴ OX1R<OX2R、ベルソムラ OX1R≒OX2R

基礎研究では、OX2Rの方が睡眠・覚醒リズムの調節や覚醒からREM睡眠、non-REM睡眠への移行に、より重要な役割を担っていることが示唆されているようです。

 

規格:2.5mg、5mg、10mg

用法用量:通常、成人にはレンボレキサントとして1日1回5㎎を就寝直前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回10㎎を超えないこととする。

食事の影響:食後投与でTmaxが1→3時間に遅延し、Cmaxが約23%低下

 

警告・禁忌:過敏症の既往歴、重度の肝機能障害患者は禁忌

併用禁忌:なし ※CYP3A阻害剤との併用では2.5mgへ減量

 

一包化:可能

薬価: 2.5mg:57.3円、5mg:90.8円、10mg:136.2円 R2.6.11現在

製造販売:エーザイ

 

臨床成績(第Ⅲ相試験)

 睡眠日誌を用いた主観的評価(国際共同303試験)、終夜睡眠ポリグラフ検査を用いた客観的評価(外国304試験)による睡眠潜時のベースラインからの変化量でプラセボに対しての優越性が確認

 (303試験)ベースライン:55分

投与6か月  デエビゴ5mg:-21.81分、デエビゴ10mg:-28.21分

(304試験)ベースライン:33分

投与29/30日 デエビゴ5mg:-12.00分、デエビゴ10mg:-16.25分

 

*R2.9.22追記

MRさんが持ってきてくれたデエビゴのパンフレットを読んでみたので、その情報を追記します。

米国睡眠医学会 成人慢性不眠症の診療ガイドラインで、臨床的に有用か否かの判断基準が定義されています。

睡眠潜時の場合はプラセボに比べて客観的評価で10分以上、主観的評価で20ふり以上短縮すれば臨床的有意差があると評価していると記載されていました。

 

あれ??

この結果だとプラセボと比べて有意差はあるけど、臨床的有意差は??

304試験の結果のグラフは中央値で書いてて、監修医コメントでは平均値で臨床的有意差があると記載されてる…

 

こういう場合、中央値と平均値はどっちで見たらよいのでしょう??

 

Twitterでつぶやいてみたところ、なんと!!

本も執筆されている、ある先生がこんなことを優しく教えてくださりました!!

 

「ベースラインからの変化量を比較するときは平均値の方がベター」

「母集団の代表値を見るときには、外れ値の影響を受けやすい平均値よりも中央値で記載することが多い」

 

有名な先生とやり取りすることができるのがTwitterの良いところ!

ありがとうございます!!

 

安全性

 肝機能障害について

中等度肝機能障害患者でCmax22%、AUC54%増加→最大5mgまで。

主にCYPで代謝されるため重度の肝機能障害では禁忌

 

腎機能障害について

用量調節は不要ですが、重度腎機能障害患者でCmax5%、AUC50%増加のため慎重投与となっています。

 

傾眠について

傾眠や持ち越し効果のリスクは少ないとされていますが、用量依存的な傾向にあるので10mgでは特に注意が必要そうです。

 

反跳性不眠、退薬兆候に関連する有害事象について

プラセボと有意差なし。

 

依存、乱用のリスクについて

臨床試験では認められませんでしたが、類薬同様の注意喚起がされています。

 

まとめ

ベルソムラと比べ、CYP3A阻害薬(クラリスロマイシンなど)との併用禁忌、一包化不可がないのが嬉しいですね!

ベルソムラ服用中の方に併用薬でクラリスロマイシンが追加されてて、疑義照会したことも実際に経験したので、新しい選択肢ができたのは、良いことではないでしょうか?(併用の場合は2.5mgへの減量をお忘れなく!)

有効性の面では、ベルソムラと比べてどうかといったデータがないため、今のところよく分かりませんが、安全性の面で特筆すべきことは、特にないのではないでしょうか。

ネックなのは、新薬のためR3.4まで14日の投与制限があることですかねぇ・・・

長期処方解禁されたら、使われていきそうな予感がします!

 

 

いかがでしたでしょうか?

デエビゴのここが素晴らしい!全然ダメ!などTwitterなどで気軽に絡んでいただけると喜びます!!

 

参考:デエビゴ錠添付文書、インタビューフォーム、審査報告書