薬局薬剤師の日常

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仕事~家族~趣味について日々感じたことや、学んだことを書いています。

✏︎過活動膀胱治療薬 ベオーバについて調べてみた

今度店舗内でベオーバの勉強会をすることになったので新薬だし自分でも調べてみることにしました!

 

ベオーバ(ビベグロンの添付文書やIFはこちらをどうぞ。

www.pmda.go.jp

 

 

 

 

ベオーバ基本情報

 

一般名:ビベグロン(Vibegron)

 

ステム:β3 アドレナリン受容体作動 -begron 

 

商品名:ベオーバ(Beova)

 

名前の由来:Beta 3 agonist for the patient with Overactive bladder

 

規格:50mg

 

薬価:185.7円 ベタニス 50mgと同薬価でしたね〜

※H30.11.20薬価収載時点

 

販売:杏林製薬キッセイ薬品工業

 

効能効果:過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁

 

用法用量:通常、成人にはビベグロンとして 50mg を 1 日 1 回食後に経口投与する。

※食事による影響はなさそうです。

※徐放錠ではないため、粉砕も可能と考えています。

 

併用禁忌:なし

 

併用注意:CYP3A4関連の薬

 

 

臨床試験成績(国内第Ⅲ相試験)

 

主要評価項目である12 週時の1日平均排尿回数に関して、ベオーバ50 mg群のプラセボ群に対する優越性が示され、参照薬としたイミダフェナシン群の結果と同程度のようです。

ちなみにデータはこんな感じです。( ..)φメモメモ

 

ベースライン(0週):

プラセボ(11.20±2.40)

ベオーバ50mg(11.13±2.37)

ベオーバ100mg(11.08±2.25)

イミダフェナシン0.2mg(11.21±2.17)

 

12週時変化量:

プラセボ(-1.21[-1.40, -1.03])

ベオーバ50mg(-2.08[-2.27, -1.89])

ベオーバ100mg(-2.03[-2.22, -1.84])

イミダフェナシン0.2mg(-2.06[-2.39, -1.73])

 

参考までに、

副次評価項目である12週時の1日平均尿意切迫感回数及び1日平均切迫性尿失禁回数に関しても、プラセボ群と比較して統計学的に有意な改善が認められ、参照薬とした イミダフェナシン群の結果と同程度のようです。

 

※イミダフェナシン群は統計学的な比較対照群ではないことに注意!

 

追記 H30.11.3

この臨床試験を見てて気になっていたのが患者群で女性が90%を占めていたのでなんでだろって思って、メーカーさんに質問してみました。

この臨床試験で除外項目がいくつもあるのですが、その1つに「前立腺肥大」があり、ほとんどの男性が除外されてしまったようです。

これは日本人患者のデータというより日本人女性のデータといった方がいいかもしれませんね…

 

安全性

 

腎機能低下患者で暴露量が増えるものの50mgにおいては腎機能の重症度によらず添付文書での注意喚起は不要と判断されています。

 

既存のベタニス(ミラベグロン)は、生殖可能な年齢の患者への投与はできる限り避けること、QT 延長を生じるおそれがあること及び CYP2D6 阻害作用を有すること等の注意喚起がされていましたが、ベオーバではそれがないようです。Σb( `・ω・´)グッ

 

また、抗コリン薬の併用効果が確認され、併用投与時の安全性に大きな問題はないようですね!

 

臨床的位置付け

 

 現在の OAB 治療において広く使用されている抗コリン薬やミラベクロンに優先して用いる第一選択薬であると結論づけることはできず、薬理作用や薬物動態等の特徴を含めた薬剤間の差異と患者の状態を考慮して、既承認薬を含めた OAB 治療薬の中から選択されるべき薬剤のうちの一つに位置付けられる。

とされています。

 

製薬会社はベタニスのような生殖発生毒性試験において問題となる毒性は認められていないこと、臨床上問題となる心血管系に関連する有害事象の発現リスクや薬物相互作用の発現リスクが低いと考えられることから、第一選択薬として考えていたようですが、それは言い過ぎだろと否定されちゃってますね

(。´・ω・)ん?

 

まとめ

 

 50mgであれば腎機能低下患者でも割と安全に使えそうですね(^-^)

ベタニスのような生殖毒性もなさそうですし、相互作用や安全性を考えると、ベオーバの方が使いやすそうですね!

ただし、効果の面ではベタニスとの比較試験はなさそうなので、よく分かりません。

 

それと1つ残念なのが、食事の影響はなさそうなのに食後投与となっている点ですね。

ベオーバに食後の縛りがなければ疑義照会することも減ると思うんだけど…

夜間頻尿の患者さんにベタニス寝る前追加で疑義紹介みたいなことってあるあるじゃないですか??

 

特に若い方に使わないといけないとかでなければ、まだ新薬だしベタニスでいいかな〜という印象。

ベタニスも抗コリンとの併用の縛りがとれましたしね!

(若い方にはあまり使われないでしょうが20代女性にベタニスが処方されたのを1度経験があります…)

 

 

今回は承認審査報告書をベースに調べてみましたφ(..;)勉強

皆さんはベオーバについてどう思いますか??

もし、よければコメントやTwitterで教えてください!!

腎臓について楽しく学べる!!~Dr.おかめの腎のおはなし~

先日たまたまTwitterDr.おかめ(@Dr_okame)さん

f:id:pharmacist-takuma:20181006004035p:plain を知りました。

まずアイコン見て衝撃的・・・。ですが興味を惹かれTwitterを拝見させて頂くとなんと!

Dr.おかめさんは「皆が腎臓のことを知っている社会を目指して」YouTubeで動画を配信されているというではありませんか!!

腎臓内科医であるおかめ先生のYouTube!?どんな動画なんだろう??

と動画を拝見させて頂いたのですが、シュールな中にも腎臓についてもっとみんなに知ってもらいたいという熱意が伝わってくる非常に分かりやすい内容の動画であっという間に全て観てしまいました。

観終わったばかりだというのに早く動画が更新されないかなと期待している自分が・・・*1ワクワク

 

Twitterをしていると勉強するのが楽しくてしかたない!という情熱溢れる先生方が多く尊敬するし、刺激をもらう反面、自分は書籍を買って勉強することもあるのですがなかなか集中力が続かなかったりですぐ書籍を放り出してしまうこともしばしばですオリャ(ノ-o-)ノ ┫;:・

.積読もたくさん・・・

 

JJCLIPもそうですがインターネットがあれば無料で楽しく情報発信したり、学ぶことができるなんて良い時代だなぁと思うと同時にこんなコンテンツが増えてくれたらうれしいなぁと期待しています! 活字苦手・・・

期待するだけではなく、自分もPh.おたふくとしてYouTubeデビュー・・・

いや、やっぱりやめておこう(笑)

 

一般の方対象ですが皆さんも1度ぜひチェックしてみてください!

Dr.おかめさん応援しています!!

 

Dr. おかめ@腎 (@Dr_okame) | Twitter

 

www.youtube.com

 

 

JJCLIPって?という方は過去記事もよろしければぜひ!

 

pharmacist-takuma.hatenablog.com

 

*1:o(´∀`)o

ノーベル賞受賞!で話題の免疫チェックポイント阻害剤って?

2018年のノーベル医学生理学賞に京都大高等研究院の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授が選ばれて「免疫療法」なるものが話題になっていますね(ノ´∀`)ノぉめでとぉ☆

 

実習生にも自分たちが受ける国試なんかに出るかもね~なんて話してみたり。

ですが急性期病院の病院薬剤師や一部の薬局薬剤師くらいしか免疫チェックポイント阻害剤?・・・オプジーボってすごく高いやつでしょ?くらいのイメージなんではないでしょうか(´ε`;)ウーン…

私もお薬手帳オプジーボ見たことあるかな・・・という程度(・・?)

なので簡単にまとめてみました!φ(..;)勉強

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まず「免疫」とは「自己にとっての異物を非自己として認識し排除するシステム」のことです。

ヒトでは毎日がん細胞が発生されているとされていますが、通常は免疫により排除されます。

 

ですが、がん細胞には免疫をうまく働かせないように邪魔をすることができます。

そこで出てくる単語が免疫細胞(T細胞など)に発現する免疫チェックポイント分子であるPD-1(プログラム細胞死1受容体)とがん細胞に発現するPD-L1(プログラム細胞死リガンド1)です。

 

PD-1とPD-L1が結合することでT細胞が不活化されます。

免疫細胞が働いていると、がん細胞は逃げるためにPD-L1を発現させて免疫細胞を近づけなくするようなイメージですかね(≧△≦)イヤー

 

免疫チェックポイント阻害剤のオプジーボは抗PD-1抗体で免疫細胞のPD-1とがん細胞のPD-L1が結合するのを防ぐことによって、がん細胞を排除する免疫機能を高めてやろうという薬ですね。

ただし、誰にでもよく効くのかというとそうではありません。

この作用機序から分かるように理論上はがん細胞にPD-L1が多く発現しているほど、効果が高いようです。

 

副作用についてですが、私のイメージでは非常にやっかい・・・。

今まではある程度予測がつく副作用も多かったですが、免疫に作用するので副作用も様々です。

特に免疫関連有害事象(irAE:immune-related Adverse Events)と呼ばれ、腸炎や1型糖尿病など内分泌異常が神出鬼没に起こるため注意が必要です。

 

こんな感じで簡単に書いてみましたが、私のこんな記事なんかよりもこちらの方が参考になると思いますので免疫療法についてのリンクを貼っておきます( ̄ー ̄)bグッ!

免疫療法 まず、知っておきたいこと:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

免疫療法 もっと詳しく知りたい方へ:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

 

これからさらに増えてくるであろう免疫チェックポイント阻害剤。

薬局薬剤師として何ができるのだろうか・・・

irAEなどもっともっと勉強しなくては!!と思う今日この頃。

抗がん剤を多く受けている薬局薬剤師さんがいれば、ぜひ話を聞いてみたいものです!

Twitterでも気軽に絡んでもらえたら喜びます\(≧U≦)/

 

 

#立てよ薬剤師

あぁ、また更新が滞っている・・・。

それはさておき去年もあったタイトルの「立てよ薬剤師」。熱い!!

自分はまだまだ参加できるなんてもんじゃないので今後参加できるように更新頑張っていきたい!!

もし、知らないよという方は、考案者で私がひそかに尊敬している、るるーしゅ先生(@ph_lelouch)。

そして立てよ薬剤師プロジェクトに参加しているブロガーさんをまとめている、やくちち先生(@yakutiti)をチェックしてみてください!

薬剤師の未来に幸あれ!!

久しぶりの更新…

いやぁ〜、最近全く更新できていませんでした…反省です(>_<)

と言っても今回は何かを情報発信するようなものでもないのですが…

また少しずつ更新していきたいと思っています。

 

今年の夏はあまり休みが取れず、子どもをどこにも連れて行くことができなかったので、ドライブがてらヒマワリ🌻を見に行きました(^-^)

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少しは楽しんでくれたかな??

このヒマワリのように元気に大きく育って欲しいなぁと思う今日この頃でした(^-^)

 

パルモディアの臨床試験の原著論文読んでみた

久しぶりのブログ更新です(;^ω^)

前回、簡単に基本情報をまとめました。

今回はあえて臨床試験データの原著論文を読んでみることにしました(^-^)

パルモディアの基本情報についての前回記事はこちらからどうぞ。

 

pharmacist-takuma.hatenablog.com

 

ただ、読む前からアウトカムが代用のアウトカムであることがわかっています。

JJCLIPのチェックシートでは読むのをやめるような論文ではありますが、新薬で日本しか発売がないので、このデータしか無いわけですし、まだまだ代用のアウトカムを正しいと信じている方も多いのではないでしょうか?

そういう方が何を根拠に良いと判断しているのかというのも分かっていた方がいいのではないかな?そう考えると読むのも案外無駄ではないかな?と初心者ながらに考えています。

それに訳わからない審査報告書を読むよりもこっちを読んだ方が案外早く理解できるかもしれないですしね(^-^)

 

・今回読んでみた論文はこちら!

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

・論文の概要

試験デザイン:タイトルにも書いてある通りランダム化比較試験(RCT)

論文のPECO:

P:20歳以上の男性と閉経後の女性(TG; ≥150 mg/dLかつHDL<50 mg/dL(男 

   性)、 <55 mg/dL(女性))

E:ペマフィブラート(0.2㎎、0.4㎎)

C:フェノフィブラート(106.6㎎)

O:投与8、12、16、20、24週後のベースラインからのTGの変化率

 

アウトカムは冒頭に書いた通り代用のアウトカムであるTGですね。

あまり読む価値はないのかもしれませんが、この論文データを元にMRさんは売り込むのでしょうからそれを鵜呑みにしないように初心者ながら読み進めてみます。

英語アレルギーのため正しく読めていない場合はどうかご指摘ください。(;'o')m タスケテ・・!!

 

盲検化:二重盲検 これもタイトルに書いてありますね。

ITT解析:本文中に記載なし。

追跡率:99.1%(同意撤回などで225名中2名脱落)

論文の概要はこんな感じでしょうか?では気になる結果について見てみましょう!

 

・有効性はどれくらい?

 

ベースラインからの変化率

vsフェノフィブラート[95%信頼区間

ペマフィブラート0.2mg

      -46.2

 -6.5 [-12.0、-1.1]

ペマフィブラート0.4mg

      -45.9

 -6.2 [-11.6、-0.8]

フェノフィブラート106.6mg

      -39.7

 

 

・感想

フェノフィブラートに対してTGの変化量で比べて有意差はついていますが、約6%です。これが臨床上どれくらい優れていると言えるのだろうか・・・。

まぁ、そもそも代用のアウトカムで設定してある試験ですが、代用のアウトカムでも効果は微妙に思えます。これくらいの差であればやはりGEも出ている従来のフィブラートで良いと思ってしまいますね。

メーカーさんはHDLも上げますと言っていますが、今回の試験では有意差までは出ていませんし、セカンダリーアウトカムになっていますので、信頼性には欠けるでしょう。

安全性についても試験されていますが、途中で力尽きてあまり読んでいません。

ですが、腎機能への影響はフェノフィブラートよりは少なそうな感じです。

 

・最後に

先日、あるクリニックからパルモディアの処方を早速受けました。近くのクリニックではないためどんな先生かは分かりません・・・。ですが、おそらくMRさんから他のフィブラートよりもTG下げるし、HDLも上がりますと説明を受けたのでしょう。

新薬は特にMRさんも売り込むために必死でしょうが、薬剤師がきちんと情報提供していかないといけないなぁと改めて感じました。

 

なんで実際に自分が読んでみた論文についての記念すべき初めての記事が代用のアウトカムの論文なんだろ・・・(TдT) ウゥ…

第9回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会に参加中!

今日は三重県までプライマリケア学会に来ています(^-^)

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朝早かったので、会場に着くまで眠かったのですが、朝のポリファーマシーのシンポジウムに参加したところ…なんとスライドに見覚えのあるあのマークが!!

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薬剤師としてポリファーマシーについて何ができるのかEBMを学びながら考えていきたいなぁと思う今日この頃です。

先生、講演お疲れ様でした!!